吉澤秀香作品集発刊に寄せて

吉澤秀香後援会 会長 今井高志

この度、吉澤秀香先生が個展の開催と同時に四冊目の作品集を発刊されることになり、後援会会長として誠に喜ばしくお祝いを申し上げる次第であります。

秀香先生の「一度は教え子に後援会会長になってもらうのが私の夢である」という言葉を真に受けて、今年の総会で佐藤晃司会長の後の後援会会長を引き受けたものの、その任の重さに改めて身の引き締まる思いをしております。

先生とは中学校教師と生徒という関係から始まり、彼これ40年近く親しくお付き合いをさせていただいております。
どうしても書の道に専念したいと定年前に教職を辞され、大変な苦労と努力をされたと思いますが、その後の活躍ぶりはご存知の通りであり、今日では日本を代表する女流書家として、押しも押されもせぬ地位を確立しております。

私は書に関しては門外漢でありますが、先生の書かれた書を拝見すると、厳しさと激しさの中に暖かさと優しさを感じます。
実際にそういう見方が当たっているかどうかは分りませんが、先生の生き方そのものがそうであり、それがそのまま書に現れているのではないかと思っております。

先生の書の原点は、藩政時代から続く刀鍛冶である二唐家の長女に生まれたことにあると思います。
一塊の鉄が火と人の手によって鍛え上げられ、刀としての形を有するまでの一部始終を見ながら、日本に古くから伝わる伝統文化に対して畏敬の念を持つとともに、書に対する憧憬の気持ちを持ったとしても何ら不思議ではありません。

まだまだ沢山の夢をお持ちの先生ですが、今回の個展開催と作品集の発刊はこれまでの集大成と考えているようであります。
この機会に多くの方々に先生の作品に触れて書の持つ奥深い魅力を感じていただくと同時に、特に若い方に書に対して関心を持っていただけたら幸いであります。

結びになりますが、日本の至宝である吉澤秀香先生には今後とも健康に留意され、これからも国内外においてますますご活躍されることを祈念申し上げたいと存じます。

2005年5月